ことばの世界

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本ことば108【いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ】田口ランディ「お互いがお互いのおいしさを引き出しあうの」

【いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ】田口ランディ

 

ぬか床というのは、いろんな野菜を漬けると、

どんどんおいしくなるのね。

 

きゅうりはきゅうりのまま、

なすはなすのまま、

にんじんはにんじんのまま、

それぞれの野菜が、それぞれの野菜のまま、

ぬか床のなかで醸されて、

お互いがお互いのおいしさを引き出しあうの。

 

ぬか床の菌も野菜も、みんなお互いに助け合っているのだけれど、

だからって、なにもしていないの。

 

なにもせずに、ただ、ぬか床のままで、あるがままにいるだけで、

おいしくなって、それぞれに、それぞれを助けているの。

 

 

野菜のお話だけど

人も一緒だよなぁ~。

 

そのままの自分でいるだけで

勝手に化学反応が起こって

おいしくなっていく。

 

そのままでいるだけ。

変に、何かをしようとしない。

 

あるがままだからこそ

お互いに補いあって

おいしくなっていく。

 

 

もし、にんじんがきゅうりになろうとするならば

そんなの無理だし、

味も触感も色も

にんじんでもきゅうりでもないものに

なってしまうかもしれない。

 

 

もし、にんじんが菌のチカラをかりずに

自分のチカラだけで発酵しようとするならば

きっと発酵不十分になるだろう。

 

 

人も一緒。

 

 

もし、わたしがあなたになろうとするならば

そんなの無理だし

顔も体型も性格も

わたしでのあなたでもない

中途半端なものになってしまうかもしれない。

 

もし、わたしが誰のチカラもかりずに

自分のチカラだけで生きていこうとするならば

生きていける自信はこれっぽっちもない。

 

 

わたしに備わっているものを

そのまま使えばいいだけ。

 

 

わたしはわたし。

あなたはあなた。

 

 

人の自然の摂理で生きている。

 

それぞれがあるがままに生きて

助け合って

魅力が発揮されていくんだと思うんだ。

 

 

 

なんだか、ぬか漬けが食べたくなる。笑

ひとつ、ひとつの野菜の味や触感を感じながら

食べたいよね。

 

 

 

今までの本ことばのまとめはこちらです。

 

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