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本ことば106【生きるとは、自分の物語をつくること】小川洋子・河合隼雄「分けられないものを分けてしまうと、何か大事なものを飛ばしてしまうことになる」

【生きるとは、自分の物語をつくること】 小川洋子 河合隼雄

 

無限の直線は線分と1対1で対応するんですね。

部分は全体と等しくなる、これが無限の定義です。

だからこの線分の話が、僕は好きで、この話から、人間の心と体のことを言うんです。

線を引いて、ここからここまでが人間とする。

心は1から2で、体は2から3とすると、その間が無限にあるし分けることもできない。

 

ああ、2.00000・・・・・。

 

そうそう。分けられないものを分けてしまうと、何か大事なものを飛ばしてしまうことになる。

その一番大事なものが魂だ、というのが僕の定義なんです

 

 

 

なるほどだ。

妙に納得してしまった。

 

 

数字で見たら、1から2への変化は何も違和感がなくて

1の次は2だと普通に思ってる。

 

でも、小数点以下をみたら

そこには無限の数がひしめいていることになる。

 

そのはっきり言えない部分っていうのは

魂もそうだけど

他のことにも言えると思ったんだ。

 

 

小川さんは「博士の愛した数式」の作者さんで

河合隼雄さんはカウンセラーであるけど、それ以前は数学をやっていたそう。

 

 

「数」がキーワードになって出てきたのが上の話。

 

 

何かを白と黒ではっきりさせたい世の中。

 

陰と陽。

男と女。

善と悪。

右と左。

動と静。

 

どちらかになると、どちらかではなくなる。

きっぱり半分になる。

 

 

でも、2を半分にした1と1はもしかしたら、

1.000000000・・・・・と0.999999999999・・・・で

見た目にはわからないけど

微妙に半分じゃないのかもしれない。

 

そういう、曖昧さがあってもいいじゃない。

 

むしろ、その曖昧な部分が必要なんじゃいの?と

考えてしまったんだ。

 

 

わたしは、

物事をはっきりさせたいところもあるし

反対に曖昧にしたいところもある。

 

そんなの、時と場合によって変わってくる。

 

 

何もかもはっきりさせなくちゃいけない世界だったら

苦痛だろうな。

 

きっちり半分にしきれない、

曖昧さは優しさなのかもしれない。

 

 

そんなことを、この本の言葉たちから考えたのでした。

 

 

 

生きるとは、自分の物語をつくること (新潮文庫)

生きるとは、自分の物語をつくること (新潮文庫)

 

 

今までの本ことばはこちら。

 

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