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本ことば113【王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法】よしもとばなな「その人にとって有効なら、口を出さないほうがいい場合が多いのだ」

【王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法】よしもとばなな

 

でも、この社会は山の上とは違うから、と私は思った。山の上では薬草茶を求めてわざわざたずねてきた人にしか会っていないから発言の権利があったが、ここではそうはいかない。ここではいろいろな価値観が交じり合って存在するので、その人にとって有効なら、口を出さないほうがいい場合が多いのだ。

 

 

言葉にして

「正解」を伝えることだけが

正解ではないんだ。

 

 

相手が

聴く準備ができていなければ

言ったところで

受けとってもらえるわけでもなく

余計はおせっかいも甚だしい。

 

 

 

『こうすればいいのに!』と

自分としたら

もどかしいこともある。

 

 

こんな道もあるよ?

こんな方法もあるよ?

この選択はどう?

って、言いたいことは

日常の中にけっこう潜んでいる。

 

 

言いたくなるわたしもいる。

 

 

度をこしてしまうと

『やらない意味がわからない』と

否定的にまでなっていく。

 

 

 

相手の価値観と

わたしの価値観が

うまく交わればいいけど、

 

交わらないことって

かなしいことに多い。

 

 

 

わたしは

おせっかいは苦手。

 

 

相手の中へ

入っていくことが苦手。

 

 

 

来たら、

ウェルカムに迎えるけど

 

自分から

「あなたの中に入れて!」と

踏み込めない。

 

 

 

踏み込まれることの

わずらわしさを知っているから。

 

 

 

求めてきたら

答える準備はあるけど、

求めてないのだったら

準備ができるまで答えない。

 

 

 

けど、

たまに考える。

 

 

 

新しい選択肢は

その選択があることを

知らないことには

選ぶことだってできない。

 

 

それを

教えるほうが

やっぱりいいのかな?

 

 

そして、

受けとらなかったら

それは、それで良しとして

伝えたほうがいいのかな?って。

 

 

 

相手のことを想ったとき

どれが「正解」なのかは

わからない。

 

 

やってみないとわからない。

 

 

 

わたしは、わたしを生きながら

その生き方で

何かをしめしていけたら

(というと、おこがましいけど)

 

何か感じてもらえたら

それで、いいのかもしれないな。

 

 

 

人を変えようって

土足で人の心に踏み込むことは

したくないから。

 

 

 

価値観が重なることがあったら

その時は伝えようと思うんだ。

 

 

伝え方も

いろんなものがあるんだって

実践しながら練習中。

 

 

「待つ」ことも

選択肢のひとつに入れながら。

 

 

 

王国〈その2〉痛み、失われたものの影、そして魔法 (新潮文庫)

王国〈その2〉痛み、失われたものの影、そして魔法 (新潮文庫)

 

 

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