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本ことば101【人生の道しるべ】宮本輝 吉本ばなな「忍耐とか、本当の意味の悲しみといったものを小説で教えてもらうこともできるでしょう」

【人生の道しるべ】 宮本輝 吉本ばなな

 

吉本

たしかにその頃って、自分の実年齢より上の人の話を読むといいですよね。大人に憧れもできるし、生き方の多様性、可能性をそこで獲得できる。全く理解できない場合、理解したいという心のはたらきも生まれます。いま自分がいる。狭い場所だけが居場所じゃないと実感できることって、心を楽にしてくれますよね。自分の枠組みをいちどリセットするというか。

 

宮本

あと、忍耐とか、本当の意味の悲しみといったものを小説で教えてもらうこともできるでしょう。いきない実際に体験してはつらいような、大失恋も、肉親の死も、小説で予習しておくというのかな。ぼくはそういうことを教えてくれる小説を、書く作家が少なくなったことにも責任も感じます。なにも、小説で説教しようとは思わないけど、なんらかの示唆は可能でしょう。小説がよき指導者でなくなったという事実もありますね。

 

 

 

自分の知らない体験をしている人の話は、

自分の器を広げてくれる。

 

こんな世界もあるんだ。って

新しいものの見方を教えてくれる。

 

 

わたしは、

人の話を聞くことが好き。

 

自分の経験していない、人の経験を

いっぱい聞くことができるから。

 

 

どんな経験をして、どんな風に思ったのか。

 

決して自分と一緒にはならないものがある。

人を知るっておもしろいんだ。

 

 

同時に、

小説の魅力がある。

 

 

疑似体験ができる魅力。

 

 

 

小説の登場人物になりきったりすることで、

自分が同じような体験をした気持ちになれる。

 

 

すると、

初めての体験があったときに

小説から救われることがあったりするんだ。

 

 

「あの小説の、あの子も同じようなこと体験してたな。」って

 

実世界じゃないかもしれないのに

同じ気持ちの人がいて、

分かり合えるような気持ちになれる。

 

 

わたしの世界は、孤独で

人と分かり合いたいのに

分かり合えないような感覚。

 

誰かに話しても、わかってもらえないんじゃないか。

話していいのか?

と、自分の世界に入り込んでしまったときに、

小説という存在は

いとも簡単にわたしの世界に入ってきてくれる。

 

すると、

一人じゃないって思える。

 

 

時には、親友で。

時には、先生で。

時には。恋人で。

時には、先輩で。

 

 

わたしの気持ちによって、

小説がどんなポジションになるかは変わるけど、

人生のことを教えてくれるものだな~と思うのです。

 

 

 

人生の道しるべ

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