本ことば087【和菓子のアン】坂木司「いつか私だって自動的に歴史の一部になる」
【和菓子のアン】坂木司
ずっとずっと昔から、時間は途切れなく続いている。その時間の別名を、歴史という。だとすると、いつか私だって自動的に歴史の一部になる。本には残らない名もなき人生だとは思うけど、食べることでお菓子を次の世代へ残していけたらいい。
一番、苦手な科目は【歴史】だった。
中学時代、
勉強はできる方で
受験したのは、地区内の進学校。
だけど、
社会の【歴史】が苦手すぎて
イヤイヤ詰め込んだ。
時代の順番すら
覚えるのに戸惑っていた。
【歴史】が
他人事すぎて
全然興味がわかなかった。
ただの出来事としての【歴史】は
記憶力を試すだけの科目となる。
違ったんだ。
【歴史】は
その時代に生きていた人たちの生き様
生きた人がつくったもの、
この時代までつなげてくれたもの、
そんなものを、知るチャンスだったんだ。
そして、
わたしの生きている今は
数十年後には歴史となって
数百年後には、もっと歴史になっている。
平成時代に、
江戸時代を学ぶかのように、
未来の時代に
平成時代を学ぶんだ。
平成時代には
コミュニケーションが随分変わったんだよ。
とかね。
わたしだって
時代をつくった一人になるんだ。
名前は登場しなくても。
いたことには、かわりない。
時代を生きている歯車の一部として
胸をはって生きていたいね。
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