本ことば082【きりこについて】西加奈子「 自分のしたいことを、叶えてあげるんは、自分しかおらん。」
【きりこについて】西加奈子
「あたしは、自分のおっぱいと、足が綺麗やと思うから、出してんの。それをなんで、襲ってくれ言うてるなんて、思われなあかんの?」
「でも・・・・・・、ほら、もうちょっと・・・・・・」
「何?あんたらみたいな服着れ言うてんの?そんなだっさいブラウスと、暑苦しいスカート?そういう恰好してたらレイプされへんかった、言うの?」
「心の被奪です。」
「知るか!レイプはレイプじゃ!大体、セックスのこともそういうこと、とか言いやがって!あたしは、自分の好きな服を着るし、していときにセッ、クッ、スッ、するんじゃ!」
ちせちゃんはとまらなかった。強く握られ過ぎて、きりこの手は、白くなった。きりこはその手を見ながら、ちせちゃんの言ったことを頭の中で反復していた。
「あたしは、あたしの服着て、何が悪い?あたしが、あたしの体大切にして、何が悪い?」
そうだ、と、きりこは思った。
きりこは、きりことして生まれて、好きな服を着て、自分のことが、自分の体が、顔が、大好きだった。誰がそれを、そのことを、間違ってる、おかしいと、言うことが出来るだろうか。
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自分のしたいことを、叶えてあげるんは、自分しかおらん。
これは、きりこが自分自身に対しても、言いきかせた言葉だった。
「ぶすやのに、あんな服着て。」
あんな言葉に、屈することはなかった。
彼らは、「きりこ」ではない。きりこは、きりこ以外、誰でもない。
思い出した。
小さい頃、きりこは、「きりこ」の欲求に、なんと忠実であったことか。お姫様のようなドレスが来たければ、迷わず袖を通したし、パァパのだっこを求めれば、その温かさは間違いなく、そこにあった。
【着たい服を着る】
それでいいと思うんです。
着たい服を着てるからテンションが上がる。
また服を着るのが楽しくなる。
ちせちゃんの、
「自分のおっぱいと、足が綺麗やと思うから、出してんの」って
とってもかっこいい♡
そして、
「わたし、自分の足は綺麗だと思うから、出してます」と思った。
でも、そんなの今初めて言った。
二の腕は太くて、自分から出したい!とはあまり思わないけど
足なら出せる。
短いスカートもはける。
綺麗だと思っているところを出している時は
自信があるから周りに「見てほしい」と無意識に思ってる。
そういった心が
エネルギーとなって、オーラとなって
人に伝わっていくんだ。
きりこは、ぶす。
けれどもお姫様のドレスをいつの間にか着なくなってた。
周りからの反応で自分を「ぶす」と知り
ぶすはかわいいものを着ちゃいけないと思い込んでしまったから。
「ぶす」というのも
「かわいいものを着ちゃいけない」というのも
全部は思い込み。
たとえ、何を言われても
「わたしはこの服を着たいから着ているの♡」と
堂々と言われたら
その服が似合うように見えてしまうようになる。
自分が「ダサい」と思ってる服を着ていたら
【ダサい服を着ているわたしもダサくなる】
自分が「かわいい」と思ってる服を着ていたら
【かわいい服を着ているわたしもかわいくなる】
服は自分の一部で
自分を外に表現するツールだ。
そして、自分の分身でもある。
最近、職場の人に
私の着ている服は【パンチがある】と言われた。
外から見ると、
そう見えるのか。と、驚いた。
確かに、まぁ、
柄物が好き。
今年買った
一番のお気に入りは
【インコの絵がいっぱい描いてあるシャツワンピース】
『かわいいけど、自分じゃ着ない』
と、言われる。
えええーーー!
『なんで、着ないんだろう?』
その部分を、聞いてみたら
おもしろかったのかもな。
着たい服を着れる。って
いいよね。
今までの本ことばのまとめはこちら
kotoba-no-sekai.hatenablog.com