ことばの世界

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本ことば082【きりこについて】西加奈子「 自分のしたいことを、叶えてあげるんは、自分しかおらん。」

【きりこについて】西加奈子

 

「あたしは、自分のおっぱいと、足が綺麗やと思うから、出してんの。それをなんで、襲ってくれ言うてるなんて、思われなあかんの?」

「でも・・・・・・、ほら、もうちょっと・・・・・・」

「何?あんたらみたいな服着れ言うてんの?そんなだっさいブラウスと、暑苦しいスカート?そういう恰好してたらレイプされへんかった、言うの?」

「心の被奪です。」

「知るか!レイプはレイプじゃ!大体、セックスのこともそういうこと、とか言いやがって!あたしは、自分の好きな服を着るし、していときにセッ、クッ、スッ、するんじゃ!」

ちせちゃんはとまらなかった。強く握られ過ぎて、きりこの手は、白くなった。きりこはその手を見ながら、ちせちゃんの言ったことを頭の中で反復していた。

「あたしは、あたしの服着て、何が悪い?あたしが、あたしの体大切にして、何が悪い?」

そうだ、と、きりこは思った。

きりこは、きりことして生まれて、好きな服を着て、自分のことが、自分の体が、顔が、大好きだった。誰がそれを、そのことを、間違ってる、おかしいと、言うことが出来るだろうか。

 

 **

 

自分のしたいことを、叶えてあげるんは、自分しかおらん。

これは、きりこが自分自身に対しても、言いきかせた言葉だった。

「ぶすやのに、あんな服着て。」

あんな言葉に、屈することはなかった。

彼らは、「きりこ」ではない。きりこは、きりこ以外、誰でもない。

思い出した。

小さい頃、きりこは、「きりこ」の欲求に、なんと忠実であったことか。お姫様のようなドレスが来たければ、迷わず袖を通したし、パァパのだっこを求めれば、その温かさは間違いなく、そこにあった。

 

 

 

 

【着たい服を着る】

 

それでいいと思うんです。

 

 

着たい服を着てるからテンションが上がる。

また服を着るのが楽しくなる。

 

 

 

ちせちゃんの、

「自分のおっぱいと、足が綺麗やと思うから、出してんの」って

とってもかっこいい♡

 

 

そして、

「わたし、自分の足は綺麗だと思うから、出してます」と思った。

 

でも、そんなの今初めて言った。

 

 

二の腕は太くて、自分から出したい!とはあまり思わないけど

足なら出せる。

 

短いスカートもはける。

 

 

綺麗だと思っているところを出している時は

自信があるから周りに「見てほしい」と無意識に思ってる。

 

 

そういった心が

エネルギーとなって、オーラとなって

人に伝わっていくんだ。

 

 

 

きりこは、ぶす。

けれどもお姫様のドレスをいつの間にか着なくなってた。

 

周りからの反応で自分を「ぶす」と知り

ぶすはかわいいものを着ちゃいけないと思い込んでしまったから。

 

 

「ぶす」というのも

「かわいいものを着ちゃいけない」というのも

全部は思い込み。

 

 

 

たとえ、何を言われても

「わたしはこの服を着たいから着ているの♡」と

堂々と言われたら

その服が似合うように見えてしまうようになる。

 

 

 

自分が「ダサい」と思ってる服を着ていたら

【ダサい服を着ているわたしもダサくなる】

 

 

自分が「かわいい」と思ってる服を着ていたら

【かわいい服を着ているわたしもかわいくなる】

 

 

 

服は自分の一部で

自分を外に表現するツールだ。

 

 

そして、自分の分身でもある。

 

 

最近、職場の人に

私の着ている服は【パンチがある】と言われた。

 

外から見ると、

そう見えるのか。と、驚いた。

 

 

確かに、まぁ、

柄物が好き。

 

今年買った

一番のお気に入りは

【インコの絵がいっぱい描いてあるシャツワンピース】

 

『かわいいけど、自分じゃ着ない』

と、言われる。

 

 

えええーーー!

『なんで、着ないんだろう?』

その部分を、聞いてみたら

おもしろかったのかもな。

 

 

 

着たい服を着れる。って

いいよね。

 

 

 

 

 

今までの本ことばのまとめはこちら

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