ことばの世界

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本ことば077【神様のボート】江國香織「ある場所で浮かないこととある場所に馴染むことと全然別であるらしい。」

【神様のボート】江國香織

 

でも桃井先生にいわせると、ある場所で浮かないこととある場所に馴染むことと全然別であるらしい。

――きみは馴染まないね。

先生によくそう言われた。浮かないけれど、馴染みもしない。それは悪いことではないけれど、ときとしてまわりの人間を孤独にするそうだ。

 

 

 

過去にこの文章を読んだとき

私は何が気になって

付箋を貼って目印をつけ

パソコンで打ち込んだのだろうか。

 

過去と今が

交わったときに

【今】の私が思うことしか

書いてはいけない。

 

【過去】の私からの

メッセージを受け取りながら。

 

 

私は

自分も馴染まない人間だ。

と、思ったのだろうか?

 

 

それとも、

「浮かない」ことと

「馴染まない」ことの

違いを、考えたかったのだろうか?

 

 

 

自分では

うまく場の空気に

馴染んでいくタイプだと

思っている。

 

 

それは

「馴染んでいる」

のではなく

「浮かないでいる」

処世術なのでは?

と、考えがグルグルし始めた。

 

 

 

仲良くなりたいのに

馴染んで同じ色になることは嫌。

と、一線引くことは多々ある。

 

自分の色を

ぼかしたくないのだ。

 

 

馴染んで

私の色が無くなるのを

恐れているのかもしれない。

 

 

 

もしかしたら、

馴染んだことで

新しい色ができあがるかもしれないのに。

 

 

その一線を越えるのが

なんだか、怖いんだ。

 

 

新しい色が

美しくて好きな色ならいい。

 

でも、もし。

汚くて嫌いな色になってしまったら?

 

 

失敗したくない。

想像できることしかしたくない。

 

そうやって

自分を守ってきた。

 

 

 

守る必要はなくて

混ざり合ってみたかったんだ。

 

 

自分の色は

私でいれば

いつだって、生まれてくるから。

消えることはないから。

 

 

馴染んだところで

私がいなくなるわけじゃない。

 

 

 

そっかー。そうだよね。

 

 

【わたし色】って題名の

絵本のような物語が

出来上がりそうな予感がした。

描いてみようかな。なんてね。

 

 

神様のボート (新潮文庫)

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