ことばの世界

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本ことば070【四月になれば彼女は】川村元気「そのときここにわたしがいて、感じていたなにかを残すためにシャッターを切ります」

【四月になれば彼女は】川村元気

 

「わたしは雨の匂いとか、街の熱気とか、悲しい音楽とか、嬉しそうな声とか、誰かを好きな気持ちとか、そういうものを撮りたい」

「確かに、写らないものだ」

「はい。でも確かにそこにあるものです。カメラを持って歩いているのは、写らないけれども美しいと思えるものに出会いたいからなんです。そのときここにわたしがいて、感じていたなにかを残すためにシャッターを切ります」

 

 

 

過去に撮った写真をながめると

撮ったときの、自分の気持ちが蘇る。

 

 

わたしが

カメラのレンズを通して

見ていた世界が、

そこには形として残っている。

 

 

 

記憶は

脳内の引き出しに

ちゃんとしまってあるのに

どこに入れたかわからなくなるから

出てくることのない子たちが

たくさんいる。

 

 

授業中にやりとりして

大事にとっておいた手紙とか。

 

海でひろった貝がらとか。

 

なんでもないけど

あの時は宝物だったもの。

 

 

思い出すと

確かに、キラキラしているのに

思い出すまでにいたらないもの。

 

 

 

 

写真は

そんな記憶を

思い出させてくれる。

 

 

 

 

他の誰かがみたら

ただの風景写真でも、

 

わたしにとっては

大好きな人が隣にいて

こんなことを話していて。

その場所にいくまでに

途中、あのお店でランチをして。

美味しいね。って、笑いあって。

なかなか目的地にたどりつかなくて

イライラしたりして。

だけど、

あの景色をみたら

2人でこれてよかったあ~って、

しあわせな気持ちになって。

 

と、

写真にストーリーが

盛り込まれているんだよね。

 

 

 

記憶をシャッターを押すたびに

閉じ込めているのかもしれないな。

 

 

四月になれば彼女は

四月になれば彼女は

 

 

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