ことばの世界

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読書記録28【消滅世界】村田沙耶香

【消滅世界】村田沙耶香

 

消滅世界 (河出文庫)

消滅世界 (河出文庫)

 

 

何が正常なのか

小説の世界に入ったら

わからなくなってしまった。

 

右に進んだつもりが

実は左に進んでいたような

世界が反転した感覚。

 

 

今の常識が

常識じゃなくなることは

よくあることだ。

 

 

もしかしたらの

もしかしたらで

【消滅世界】のように

なるかもしれない。

 

 

帯には

世界から

家族、セックス、結婚…

が消える

 

 

と、書いてあった。

 

 セックスではなく、人工授精で、子どもを産むことが定着した世界。

そこでは、夫婦間の性行為は「近親相姦」とタブー視され、

「両親が愛し合った末」に生まれた雨音は、母親に嫌悪感を抱いていた。

清潔な結婚生活を送り、夫以外のヒトやキャラクターと恋愛を重ねる雨音。

だがその”正常”な日々は、夫と移住しあ実験都市・楽園で一変する……

日本の未来を予言する傑作長編。

 

 

夫婦間でセックスしないで

他のヒトとセックスすることを良しとする。

 

え。だとしたら

夫婦って何なのだろう?

 

 

人工授精で子どもを授かるわけだから

夫婦間の子どもが生まれるから

夫婦の意味はあるのかもしれない。

 

 

え。でも。。。

セックスが全て。とか

そんなことを言いたいわけでもなくて。

 

夫婦って

何をもって、夫婦なのだろう?

 

 

物語が進むと、

夫婦すらなくなる都市があった。

 

 

全員が

「おかあさん」で

子どもを育てる。

 

男性も

子どもがうめるように

なっていく社会。

 

 

均一化されていく世界。

男女差もなく

子どもの個性もない。

 

 

子どもにとって

誰もが同じおかあさん。

 

 

気持ち悪い。

そんなの気持ち悪い。

 

 

 

ただ、考えてしまうのは。

もしも、私がその世界を生きていたとしたら。。。

 

今の私が

気持ち悪いと思っていることを

あっさりと「常識」として

受け入れてしまうのではないか?

ということだ。

 

 

どこかに違和感はあったとしても

『みんなの普通だから、そういうことだ』

って、流されてはしまわないか。

 

 

 

うううう。

この本を読んだ後の

旦那さんとのセックスに

物語の余韻が残りすぎていて

心が置いてけぼりだった。

 

 

好きな人と

肌で触れ合うのは気持ちがいい。

夫婦になりたいと思う

好きな人だからこそ

セックスだってしたくなる。

というのは、

古風な考え方になってしまうのだろうか。

 

 

 

時代が流れていくとともに

残っていくもの

失われていくもの

両方があるのは、当然なのだ。

 

 

 

柔軟に生きていきたい。

けれど、

私にとって大切なものは

たとえ、変人と思われようとも

ぶれずに生きてもいきたい。