ことばの世界

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本ことば038【よろこびの歌】宮下奈緒「歌う楽しさなんて、私は知っていたのだろうか?」

【よろこびの歌】 宮下奈緒

 

多くを望まないつもりで、実際にはとても多くを望んでしまっていたことに私はすぐに気がついた。うまくなくてもいいから歌う楽しさを知ってほしいと、たぶん私は思っていた。たぶん、というのは、そのときの率直な気持ちを正確には思い出せないからだ。私はたぶん、少ししか望まないつもりで、すごく大きなものを望んでいた。歌う楽しさなんて、私は知っていたのだろうか?自分が知らないものを、人に教えることができるのだろうか?

 

 

自分が知らないものは

人に教えられないと思う。

 

知ったつもりで教えるのと

体験して知っているものを

教えるということは

同じ言葉で言われていても

受けとるエネルギーは違う。

 

 

 

楽しさは伝染するよね。

勝手に。

 

 

楽しさは教えるよりも

伝わっていく。のだと思う。

 

 

自分が楽しくしていたら、

その楽しさが波動となって

人に入り込んでいく。

 

 

だから、

教える必要はないのかも。

 

 

 

 

わたしは

中学、高校と吹奏楽をしていたのあって

人と演奏することが好きです。

 

一人で演奏するよりも

誰かと奏でる音楽が好き。

 

 

その純粋な楽しさを

学生時代に感じていればよかった。と

ちょっとだけ後悔しました。

 

 

楽しさよりも

上手くなりたい!の

向上心のが強くて、

楽しくやろうよ。と

できなかった。

 

 

厳しい部活だったのもあり、

できるようになるために

相当の努力をした。

 

できることが

楽しさであり

できることが

喜びでもあったから。

 

 

 

努力した結果としての

「楽しさ」が

わたしは好きなのかもしれない。

 

 

吹奏楽での努力は

わたしにとっての普通のことで

努力が努力でなかったということ。

 

 

でも、

その努力が苦しかった仲間が

いたのかもしれないなぁ。と

今となっては振り返られる。

 

 

 

「どうして努力をしないのか?」が

理解できなかったから。

 

 

そして、

曲が吹けるようになることの

楽しさは当然だと思ってたから。

 

 

 

わたしの楽しさは

時に厳しさになり

人を攻撃するのかもしれない。

 

けれど、

その根底のエネルギーが

楽しさだったら

人は一緒に努力をしてくれるもの。

 

 

 

楽しさは、

『人を動かす最大のエネルギー』

ということですね。

 

 

よろこびの歌 (実業之日本社文庫)

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