言葉の世界

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【まく子】西加奈子「みんな「話すこと」を欲しがるモンスターみたいだった」

【まく子】 西加奈子

 

噂話はそこら中にあったけれど、大抵はみんなの暇つぶしの種にしか過ぎなかった。話すことが特別ないから、じゃあ誰かの噂話でもしましょうか。そんな感じだったし、その話の真相を本人に直接聞くこともしなかった。みんな「本当のこと」には興味がないのだ。大切なのは「話すこと」があるってこと。みんな「話すこと」を欲しがるモンスターみたいだった。一度それを発見したら、みんなが噛み倒した。そして味がなくなったら、それはいつか別の何かにとって代わられるのだった。

 

 

「本当のこと」はどっちだっていい。

 

ただ、きゃーきゃー騒いで笑ったり

とにかく話したい時がある。

 

 

そういうの、めんどくさいと思ってた、わたし。

近所の井戸端会議とか(今もあるのかな?知らないけど)

とりあえず女子で集まって、ただただ話すとか

何が楽しいのかいまいちわからなくて。

 

 

もっと、身のある話をしようよ。と思ってたし

いない人の話で盛り上がって、

真相を勝手につくりあげることにも

嫌気がさしていた。

 

 

みんな好き勝手に言いたい放題言うよな。って

冷めてみてたりしてた。

 

 

 

とにかく話したいって、

話すことは何でもいいって

そういうこと、あるんだね。

 

 

 

話すんだったら、

話したいテーマってあるじゃない?

いや、ないのかな?

 

わからなくなってくる。

 

 

 

話したくて話したい話。

でも、話したい話は、

聞いてほしい人にだけ聞いてほしいから

みんなのいる場で話したいわけじゃないし

話したところで盛り上がるかどうか別。

 

 

 

自分のことじゃないからこそ

無責任に盛り上がれることってあるもんね。

 

 

 

テレビの中の話とか。

あの俳優とあの女優が結婚したとか、

自分とかまったく関係ないのに盛り上がれる。

 

 

好き放題に、

あーだの、こーだの、言えちゃうのは他人事だから。

 

 

あっちに、こっちに、話が飛んでも成り立つのは

みんな人の話を聞いてないから。

 

 

そっか。

話したい人たちだけの集まりだったら

それが成立するんだ!と

今腑に落ちた。

 

 

 

聞く行為はなしにして

ただ話している。

別にちゃんと聴いてほしいわけじゃなくて

ただただ話したいだけ。

 

だから、別の話題になったとしても

その話題でまたべらべらと話す。

 

 

そういうコミュニケーションの取り方もあるわけね。

 

 

 

でも、

わたしは自分が楽しい話をしたいし

相手の楽しい話をしたい。

 

そこには

他人事だからの楽しさじゃなくて

自分があってこその楽しさがいいんだな。

 

 

 

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