ことばの世界

本から自分を知っていく、そんな場所

「へ」の詩【はひふへ へへへ】

ははは。

ひひひ。

ふふふ。

へへへ。

ほほほ。

 

は行のみんなは

それぞれの笑い方をする。

 

 

おいら【へ】は

一番のへそ曲がりの

への字の口で

「へへへ」と笑う。

 

 

【は】は言ってたな。

「あたいは、歯が見えるくらいに

 ははは。と口を大きくあけて

 笑うんだ」って。

 

 

「ははは」と笑うと、

なんだか、たのしくないことも

たのしくなっちゃうから

不思議だ。

 

でも、

おいらは「へへへ」と笑うのが

お気に入り。

 

 

 

【ひ】は言ってたな。

「僕は口角の片方が上がるように

 ひひひ。とニヒル

 笑うんだ。」って。

 

「ひひひ」と笑うと、

なんだか、何もないことも

企んでるようにみえるから

不思議だ。

 

でも、

おいらは「へへへ」と笑うのが

お気に入り。

 

 

 

 

【ふ】は言ってたな。

「うちは、唇に厚みをもたせて

 空気の音で

 笑うんだ。」って。

 

「ふふふ」と笑うと、

なんだか、見えなかった

空気の輪郭に触れるようで

不思議だ。

 

でも、

おいらは「へへへ」と笑うのが

お気に入り。

 

 

 

 

【ほ】は言ってたな。

「わたくしは、おしとやかに

 マダムのように美しく

 笑うんだ。」って。

 

 

「ほほほ」と笑うと、

なんだか、自分が貴婦人にでも

なってしまったかのようで

不思議だ。

 

でも、

おいらは「へへへ」と笑うのが

お気に入り。

 

 

 

「へへへへへ」

 

ちょっと照れたときも

「へへへ」と笑う。

 

えっへんと威張りたいときも

「へへへ」と笑う。

 

何かいたづらを思いついたときも

「へへへ」と笑う。

 

 

やっぱり、おいらは【へ】なんだな。

へへへ。