言葉の世界

言葉から、世界を知り、世界を創っていくブログ

本ことば

【キュア】田口ランディ

【キュア】田口ランディ 星野の周波数に合わせる。そのために自分を透明にしなければならない。狙いを定めて電圧を上げた。そうだ、この感じだ。あの震えがやってくる。ブレる。次第に星野の震えと同調していく。僕は消える。どこにもいなくなる。 自分を透…

【ラリルレ論】野田洋次郎「不確かなものにつける理由なんて大体いくらでも出てくる」

【ラリルレ論】野田洋次郎 不確かなものにつける理由なんて大体いくらでも出てくる。 心配性だから、とか。まじめだから、とか。 基本『今』をいつもどこかで『過去』として認識してるからか、とも思った。 あと、なにより記憶で人は生きてると思ってる。 も…

【うつくしい人】西加奈子「私は誰かの美しい人だ。私が誰かを、美しいと思っている限り。」

【うつくしい人】西加奈子 「まきさんも、とても美しい人なのです」 泣かないぞ、と決めて、私は手を振った。ぶう、とバスが通る音がした。 私は誰かの美しい人だ。私が誰かを、美しいと思っている限り。 世界のすべてが 美しく見えるときがある。 残念なが…

【もしも私が、そこにいるならば】片山恭一「わたしという人間が弱すぎたんだ」

【もしも私が、そこにいるならば】片山恭一 「母のせいですね」 しばらく間を置いて内藤は口を開いた。 「当時はそう考えたが、結局は自分の人生だ。誰かのせいにできることなんてありはしない。うまくいかないのは自分のせい。わたしという人間が弱すぎたん…

【ふたつめのボールのようなことば】糸井重里「こころの面倒を、引き受けないと、いけないんだ。」

【ふたつめのボールのようなことば】糸井重里 こころなんてものがあるから、めんどくさい。 みんなが、それで苦しんでじたばたしているのだが、 どこかにすかっとしたくても、割り切っちゃだめだ。 こころの面倒を、引き受けないと、いけないんだ。 人間であ…

【いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ】田口ランディ「感謝するために感謝していなかったかしら。」

【いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ】田口ランディ プレゼントをもらった瞬間から「感謝しなければいけない」という気持ちに気が急いていて、感謝するために感謝していなかったかしら。 初女さんに、おむすびをむすんでいただいたときも「ありがと…

【食堂かたつむり】小川糸「みんな、濁り具合の程度の差こそあれ、心の中を満たしているのは泥水だ。」

【食堂かたつむり】小川糸 私はほとんどの人や生き物を愛することができる。けれどたったひとり、おかんだけは、どうしても、心から好きにはなれなかった。おかんをうとましく思う気持ちは、その他すべてを愛するエネルギーと同じくらい、深くて重たいものだ…

【ハーモニーの幸せ】田口ランディ「発見って、いま、この瞬間の喜びだ。」

【ハーモニーの幸せ】田口ランディ しょせん私が考えることなんて、かつて誰かがちゃんと考えたことばかりだ。 私には新しいことを見つけ出すような能力はない。 だけど、私にとっては発見なのだ。 あらゆることは世界にある。それを自分なりに発見すること…

【ふくわらい】西加奈子 「言葉を、言葉からお考えなのではないでしょうか。」

【ふくわらい】西加奈子 「言葉を、言葉からお考えなのではないでしょうか。」 「言葉を、言葉から?」 「はい、文章を書くときに言葉を組み合わすのではなく、言葉以前から始められているのではないでしょうか。」 言葉を考えるときは どこから考えてるの?…

【言葉なんかおぼえるんじゃなかった】田村隆一「肉眼だけが詩を詠むことができる」

【言葉なんかおぼえるんじゃなかった】田村隆一(語り)・長薗安浩(文) 旅の魅力は、未知なるものと遭遇することにある。 知らない土地、風景、顔、言葉、花、そして自分自身。遭遇しながら、自分の肉眼を養っていく。「私は、一・五です」なんでのとは違…

【四月になれば彼女は】川村元気「些細な気持ちを積み重ね、重ね合わせていくことを怠った」

【四月になれば彼女は】川村元気 私たちは愛することをさぼった。面倒くさがった。 些細な気持ちを積み重ね、重ね合わせていくことを怠った。 このまま、私たちが一緒にいることはできない。 私は失ったものを、取り戻したいと思っています。 たとえそれが、…

【まく子】西加奈子「そ、そのときは、そのとき、初めて、俺は、ちゃんと、傷つくんだし。」

【まく子】西加奈子 「嘘だってど、どうして分かる?」 ドノは、ぼくのことをじっと見た。初めてちゃんと目を合わさなかったかもしれなかった。大人がぼくを見るような目ではなかった。 「どうしてって・・・・・。だって、ベランダから空に階段が伸びたとか…

【産む、産まない、産めない】甘糟りり子「具体的な言葉を当てはめたいという欲求が生まれた。」

【産む、産まない、産めない】甘糟りり子 寒い夜だったけれど、雄二は汗をかいていた。院内の暖房のせいか、あせりのためか、自分でもわからなかった。前向きなあせり。この奇妙な心の動きをなんと呼んだらいいだろうか。ブログをつけるようになって、自分の…

【たった、それだけ】宮下奈緒「自分はできる、自分はいいことをしている、と思っていると」

【たった、それだけ】宮下奈緒 「自分はできる、自分はいいことをしている、と思っていると、どうしても相手のことを低く見てしまうように思います」 益田さんは淡々と続けた。 「相手が下手に出ないと、なんで、と思うんです。なんで、俺が親切にしてやって…

【冷静と情熱のあいだ】江國香織「言葉は記号のようだった。」

【冷静と情熱のあいだ】江國香織 言葉は記号のようだった。記号だからこそ、あんなに気安く口から滑りでたのだ。大切なことは何一つ言いだせないままに。 どれだけ、 わたしは「言葉」に こだわるのだろうか? と、自分でも思ってしまう。 「言葉」関連のと…

【君の膵臓を食べたい】住野よる「私達は、自分の意思で出会ったんだよ。」

【君の膵臓を食べたい】住野よる 君と私がクラスが一緒だったのも、 あの日病院にいたのも、偶然じゃない。 運命なんかでもない。 君が今までしてきた選択と、 私が今までしてきた選択が、 私達を会わせたの。 私達は、自分の意思で出会ったんだよ。 わたし…

【きいろいゾウ】西加奈子「大人の基準って、誰が決めるんだろう。」

【きいろいゾウ】西加奈子 「そうか?大人は大人でけっこう大変やで。」 言って、また恥ずかしくなった。私なんて、ちっとも大人じゃない。洋子と張り合って、ムコさんに甘えて、セイカさんの前で大泣きして。大人の基準って、誰が決めるんだろう。ガス代と…

【アムリタ】 吉本ばなな「彼はきっと、泣きたがっているんだ。」

【アムリタ】 吉本ばなな とぼけていたんじゃないとしたら(そうじゃないのはわかっていた)、彼はきっと、泣きたがっているんだ。 私は思った。 泣きたいのに泣けなくて、無意識のうちにそういうきっかけを捜したり、選びとったりしているんだ。 何とつらい…

【15歳の寺子屋 ひとり】吉本隆明 「せめて文字にして残そうと」

【15歳の寺子屋 ひとり】 吉本隆明 なんだかうまくいえない。いうにはいったけど、相手にわかってもらえた気がしない。もやもやしてやりきれない気持ちになることが、みなさんにもきっとあるでしょう。 それで僕は、自分がいいたかったことを紙に書いて残…

【i(アイ)】 西加奈子「この世界にアイは、存在する。」

【i(アイ)】 西加奈子 「この世界にアイは、存在する。」 私はここだ! 海中で、アイは叫んだ。苦しさは限界を超えていた。でも叫んだ。 私はここだ! アイはここにいる! 両親に、ミナに、ユウに愛されたから私があるのではない。私はずっとあった。ずっ…