言葉の世界

言葉から、世界を知り、世界を創っていくブログ

本ことば

【生きるとは、自分の物語をつくること】小川洋子・河合隼雄「それだけ言葉っていう道具の方が不自由なものだということでしょうか。」

【生きるとは、自分の物語をつくること】小川洋子・河合隼雄 『それだけ言葉っていう道具の方が不自由なものだということでしょうか。 もう恐ろしいぐらいに出ます。言葉の方が一般的にはごまかし可能ですよ。相当嫌いな人にでも「お会いできて嬉しいです」…

【蘇える変態】星野源「つまり「変態であること、それすなわち人間である証明」なのだと思います」

【蘇る変態】星野源 人はみな、変態だと思います。 人間より長い歴史を持つ動物を生物として「普通」としたら、 服を着て着飾ったり、向かい合ってセックスすることを正常位とする人間は もうフェティッシュの固まりだし、みな変態です。 つまり「変態である…

【言葉なんかおぼえるんじゃなかった】田村隆一「ほかの誰とも違う「好きです」「愛してます」を探すわけだ」

【言葉なんかおぼえるんじゃなかった】 田村隆一(語り)・長薗安浩(文) たとえば、だ。 電話がここまで行き届くと、手紙を書かなくなる。手紙ってのは、思いを伝えるのに向いているんだ。まあ、そのためには言葉と字が大切になってくる。自分の思考や感情…

【ちび象ランディと星になった少年】坂本小百合「好きなことって覚えるのも簡単なのよ。」

【ちび象ランディと星になった少年】坂本小百合 「すっげー、でもママはなんでゾウのことはそんなに詳しいの?」 「そうね。子供の頃から大好きだったからね。哲ちゃんだって、家にいるいろんな動物のことをよく知っているじゃない。好きなことって覚えるの…

【ブスの「力」】石川香「人の評価をぜんぶ足したら、それが私になるでしょうか?」

【ブスの「力」】石川香 人の評価をぜんぶ足したら、それが私になるでしょうか?なりはしないですよね。だから、他人の評価なんて関係ないし、比較することを最初からあきらめる。そんなものは放棄すればいいだけなのです。 「人の評価=自分の評価」と 思い…

【いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ】田口ランディ「ことばを、ただの記号として使わない」

【いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ】田口ランディ 初女さんの、ことばへのこだわりは深い。ことばに、思いをこめている。ただ、ことばを道具のように使うのではなく、ことばを通してことばを超えた実感、フィーリング、雰囲気を伝えようとしてい…

【活版印刷三日月堂 星たちの栞】ほしおさなえ「ひとつに決めてしまうのが怖かったのかもしれない。」

【活版印刷三日月堂 星たちの栞】ほしおさなえ でもほんとは、ひとつに決めてしまうのが怖かったのかもしれない。ひとつに決めるということは、他の名前を捨てる、ということだ。ほかの可能性を捨て、ひとつの運命を選び取る。それが怖かった。 あれも、これ…

【異性】角田光代・穂村弘「女性にとって「モノはワタシ」なのではないか。」

【異性】 角田光代 穂村弘 否、というのが私の結論だ。 男の人にとって「モノはモノ」であるが、 女性にとって「モノはワタシ」なのではないか。 その「モノ=ワタシ」は、アイデンティティとは似て非なる何かのように思う。 この図式の=は、単純にいえば「…

【ふたつめのボールのようなことば】糸井重里「同じようなことを思ったとしても、」

【ふたつめのボールのようなことば】糸井重里 同じようなことを思ったとしても、 その同じようなことを、 もういちど、あらためて書いたほうがいい。 この【ことば】に触れたから また、書いてみている 5年前の日記を読み返しても 今と同じようなことを 書…

【かもめ食堂】群ようこ「ということは奥さんは逆さ?」

【かもめ食堂】 群ようこ 「父のオムツを換えているとき、テレビでフィンランドのニュースを何度も見たんですよ。『エアーギター選手権』『嫁背負い競争』『サウナ我慢大会』『携帯電話投げ競争』でしたね。いちばんすごかったのは、『嫁背負い競争』です。…

【ラリルレ論】野田洋次郎「笑われてもビクともしない歌を僕は唄う」

【ラリルレ論】野田洋次郎 いつだって誰かの必死な姿は、 どこかの誰かにとっては格好の笑いものだ。 笑われるっていうのは、 それだけ無茶なことに挑んでるということだ。 それだけまっすぐだということだ。 それを直視できないんだ、笑う者は。 思わず眼を…

【和菓子のアン】坂木司「いつか私だって自動的に歴史の一部になる」

【和菓子のアン】坂木司 ずっとずっと昔から、時間は途切れなく続いている。その時間の別名を、歴史という。だとすると、いつか私だって自動的に歴史の一部になる。本には残らない名もなき人生だとは思うけど、食べることでお菓子を次の世代へ残していけたら…

【ハゴロモ】よしもとばなな「毎日が新しい朝なんだ・・・・・・」

【ハゴロモ】よしもとばなな そう、気づくと私は朝のきれいな光に照らされて、連れてきた猫だけが、東京での生活のままにごはんをねだって顔をすり寄せてくる。ここはどこだ? と何回も思った。ふるさとなのに実家ではない場所で目覚めている。自分がどこで…

【キュア】田口ランディ「どんな人間だろうと、必ず死ぬじゃないか。」

【キュア】田口ランディ 僕は死ぬ運命なのか。嘘をつけ。どんな人間だろうと、必ず死ぬじゃないか。 身体が燃える。熱い。灼熱地獄だ。そのうえ寒けがする。熱を出しているのは細胞の中にいるミトコンドリアだ。遥か昔に寄生したウィルスが、六十兆の細胞の…

【神様のボート】江國香織「言葉で心に触られたと感じたら、」

【神様のボート】江國香織 「先生っていうものは、だいたい言葉の使い方が上手なんだから」 言葉は危険なのだとママは言う。言葉で心に触られたと感じたら、心の、それまで誰にも触られたことのない場所に触られたと感じてしまったら、それはもう「アウト」…

【まく子】西加奈子「みんなで分かるからこそなおさら、その中の自分の「分かる」という気持ちを丁寧に慈しむことが出来た。」

【まく子】西加奈子 誰も、明らかに説明不足のぼくを責めなかった。ぼくたちは言いようのない共感の中にあった。それは言葉では追い付かないものだった。それぞれの想いを、それぞれで分け与えているような感覚は、でも、かえってそれぞれの体がひとつである…

【きりこについて】西加奈子「 自分のしたいことを、叶えてあげるんは、自分しかおらん。」

【きりこについて】西加奈子 「あたしは、自分のおっぱいと、足が綺麗やと思うから、出してんの。それをなんで、襲ってくれ言うてるなんて、思われなあかんの?」 「でも・・・・・・、ほら、もうちょっと・・・・・・」 「何?あんたらみたいな服着れ言うて…

【14歳の水平線】椰月美智子「なんで登場人物の気持ちをおれが当てなくちゃいけないっての」

【14歳の水平線】椰月美智子 「そもそもさ、国語の文章問題とかって、わけわかんなくね?なんで登場人物の気持ちをおれが当てなくちゃいけないっての。好き勝手に自由に読ませてほしいよ、まったく」 おれの言葉に、ミラクルが再度深くうなずく。国語の文…

【アナザー・ワールド 王国 その4】よしもとばなな「私の心の奥底には小さなときからずっと同じように、たったひとりでうずくまる場所がある」

【アナザー・ワールド 王国 その4】よしもとばなな 私の心の奥底には小さなときからずっと同じように、たったひとりでうずくまる場所がある。そういうのをこの人も持っている、そういう人だった。 うずくまる場所。 わたしも、もっている。 海の底に潜って …

【恋愛小説】椰月美智子「他人に相談したって、結局は自分が決断しなければならないことを知っているから」

【恋愛小説】椰月美智子 映子自身、自分の悩みを他人に相談するタイプではない。他人に相談したって、結局は自分が決断しなければならないことを知っているから。どちらかと言えば美緒も映子に近いものがある。 けれど! 天下の甘ったれの美緒は、とりあえず…

【思いを伝えるということ】大宮エリー「輪だったものが途切れるところに、なんか面白みを感じるの」

【思いを伝えるということ】 大宮エリー 輪ではなくなったドーナツの穴を見つめながら、 「輪だったものが途切れるところに、なんか面白みを感じるの」 と、美和子が言った。西島は、なんとなく美和子の言わんとしている感覚的なことが、分かるような気がし…

【神様のボート】江國香織「ある場所で浮かないこととある場所に馴染むことと全然別であるらしい。」

【神様のボート】江國香織 でも桃井先生にいわせると、ある場所で浮かないこととある場所に馴染むことと全然別であるらしい。 ――きみは馴染まないね。 先生によくそう言われた。浮かないけれど、馴染みもしない。それは悪いことではないけれど、ときとしてま…

【ツナグ】辻村深月「みんなに平等に不平等。フェアなんて誰にとっても存在しない」

【ツナグ】 辻村深月 狐につつまれたような気分のまま返事をすると、「そ」と頷いた彼女が、去り際に微笑んだ。 「世の中が不公平なんて当たり前だよ。みんなに平等に不平等。フェアなんて誰にとっても存在しない」 平等に不平等。 平等なのに不平等? 平等…

【ハーモニーの幸せ】田口ランディ「他人を思い通りにしたい私がいる」

【ハーモニーの幸せ】田口ランディ 他人を思い通りにしたい私がいる。自分のイメージの屋久島を相手に押し付けようとしている私だ。そして、怒られるとすぐにふてくされる私がいる。「だったら、もういい」と関係を切ることで物事を決着させてしまう友達。ど…

【本当に自分の人生を生きることを考え始めた人たちへ】銀色夏生「自然にいろんなことがむくむくと育って、世界のかたちは変わっていくような気がします。」

【本当に自分の人生を生きることを考え始めた人たちへ】銀色夏生 話すこと、表現すること、それを聞くこと、見ること、それによって、自然にいろんなことがむくむくと育って、世界のかたちは変わっていくような気がします。 そして僕も、今までどおり、自分…

【コーヒーが冷めないうちに】川口俊和「それは重力による影響だが、人の心にも重力のようなものがある」

【コーヒーが冷めないうちに】川口俊和 水は高い場所から低い場所へと流れていく。それは重力による影響だが、人の心にも重力のようなものがある。自分が認め、心を許した相手の前では嘘がつけない。本当の自分をさらけ出してしまう。悲しい気持ちや、弱い自…

【ハゴロモ】よしもとばなな「相手をそこまで信じて尊重することなんかできないような気がした」

【ハゴロモ】よしもとばなな 私にそれができるだろうか・・・・・・、気持ちをうまく切り替えればなんとかできそうだけれど、相手をそこまで信じて尊重することなんかできないような気がした。社会の観念やこうあるべきという回復のしるしに、ついとらわれて…

【きっと君は泣く】山本文緒「本当のことを言われて怒るようじゃ、まだ椿も子どもだよ」」

【きっと君は泣く】 山本文緒 「返す言葉がないようだね」 くすくす笑って、祖母は煙草をもみ消した。 「ひどーい、おばあちゃん」 「そう思うのは本当のことだからだろ。本当のことを言われて怒るようじゃ、まだ椿も子どもだよ」 図星のことを 言われたとき…

【四月になれば彼女は】川村元気「そのときここにわたしがいて、感じていたなにかを残すためにシャッターを切ります」

【四月になれば彼女は】川村元気 「わたしは雨の匂いとか、街の熱気とか、悲しい音楽とか、嬉しそうな声とか、誰かを好きな気持ちとか、そういうものを撮りたい」 「確かに、写らないものだ」 「はい。でも確かにそこにあるものです。カメラを持って歩いてい…

【なるほどの対話】河合隼雄・吉本ばなな「好き嫌いがないかと言えば、相当にはっきりと(特に嫌いということが)あります」

【なるほどの対話】 河合隼雄・吉本ばなな 何かにつけて、「これが好き」というのがあまりないのです。と言って、好き嫌いがないかと言えば、相当にはっきりと(特に嫌いということが)あります。しかし、それはたとえば、「~の花が嫌い」というのではなく…